治験とは
治験は「薬の候補」を用いて国の承認を得るための成績を集める臨床試験
薬が誕生するまでには膨大な時間と研究開発の知識や技術が必要です。ものによっては10数年かかり、費用も数百億円の新薬もあります。そして多くの人の協力が必要です。「薬」の素となる物質は地球上に存在する植物、土壌中の菌、海洋生物、そして化学合成によってできたものなどの中から発見されます。これらの物質のうち薬になるのは1万分の1以下とも言われています。これらの物質は、試験管の中での実験や動物実験により病気に効果があるものとないものとに選別されます。
病気に効果があるとされた物質の中で毒性や発がん性もなく、人に使用しても安全と予測されるものだけが「薬(くすり)の候補」として選ばれます。この「薬(くすり)の候補」の開発の最終段階では、健康な人や患者さんの協力によって、人での効果と安全性を調べる治験(ちけん)が義務付けられています。得られた調査結果である成績を国が審査して、病気の治療に必要で、かつ安全だと承認されたものだけが「薬(くすり)」となります。
人における試験を一般に「臨床試験」といいますが、「薬(くすり)の候補」を用いて国の承認を得るための成績を集める臨床試験は、特に「治験(ちけん)」と呼ばれています。人で行いますので、安全性と人権に配慮した「医薬品の臨床試験実施基準」(Good Clinical Practice=GCP)に基づき厳格なルールにそって段階絵的に進められます。GCPは日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)において、三極においてハーモナイズされており、その目的は、被験者の保護、治験データの科学性・正確性の確保、治験の管理等にあります。
新薬承認までの流れ
治験は新薬誕生のプロセスで重要な役割を果たす
薬が発売されるまでには長い年月と莫大な費用が必要とされています。どのような流れになっているのか順を追って説明します。◆創薬~シーズ探索~(=基礎研究)
植物・微生物・化学物質などのありとあらゆる物質の中から「薬(くすり)」として活用できる物質を数年かけて探し出します。ここで得られた物質のうち実際に薬になるのは1万分の1以下と言われています。◆非臨床試験
数年をかけてマウス・ラットなどの動物試験によって有効性や安全性を判断するための確認作業を行います。特に、一般毒性研究(短期・中期・長期的に見て毒性はないかどうか)、特殊毒性研究(発がん性や胎児への影響)に関してはGood Laboratory Practice(=GLP)というOECDが策定した世界基準にのっとって試験が行われます。◆臨床試験(治験)
動物試験で有効性と安全性が確認された「薬(くすり)の候補」について数年をかけて、第Ⅰ相・第Ⅱ相・第Ⅲ相と慎重に段階を踏みながら治験ボランティア・治験モニターの協力を得て「治験(ちけん)」と呼ばれる臨床試験を実施します。第Ⅰ相は少数の健康な人に主に安全性や生体内での移行(吸収、分布、代謝、排泄など)について調べます。
第Ⅱ相は比較的少数の患者で、有効性や安全性を調べる試験
第Ⅲ相は多数の患者で、有効性と安全性を標準的な薬と比較する試験。
プラセボと比較対照する場合もあります。
◆新薬の承認・製造・販売
国(厚生労働省)の厳しい審査を通過し、品質・有効性・安全性の認められたものだけが新薬として承認され、やっと製造・販売にたどり着きます。◆製造販売後臨床試験
新薬として承認・製造・販売された後も、薬の品質・有効性・安全性を数年間にわたり確認することが義務付けられていています。これは治験ボランティア・治験モニターによる、治験の第Ⅳ相試験として設けられています。市販後調査と言われ「医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準( GPSP)」に則って行われます。



